2017年12月27日
日本・世界農業遺産とヘリテイジリゾートの取り組み 第二回
第ニ回 伝統農法の未来
前回の農業遺産とヘリテイジリゾートシリーズ第一回では、農業遺産というワードについて触れ、農業遺産への登録を目指す、ヘリテイジ周辺で営まれている伝統農法について、お話ししました。
今回は、ヘリテイジリゾート周辺地域である比企丘陵に古墳時代から続くとされる伝統農法『ため池農法』を守る意味、そして伝統農法の未来について少しお伝えしたいと思います。
◾️伝統農法の未来
〜日本農業遺産・世界農業遺産を目指す意味〜
ヘリテイジ周辺の比企丘陵地域で営まれる「ため池農法」を未来に継承しようと、滑川町を中心に3市5町が、「比企丘陵農業遺産推進協議会」を設立し、この活動に我々も参加しています。現在、日本農業遺産や世界農業遺産の登録を目指し、官民一体で取り組んでいる所です。
協議会を構成する3市5町(東松山、熊谷、深谷の各市と滑川、嵐山、小川、吉見、寄居各町)には大小合わせて353カ所と、全国有数の多さです。そのうちのひとつ「五輪沼」では、ため池ができた後に造られたとみられる7世紀ごろの窯跡が見つかっており、古墳時代には、ため池農法が定着していたとみられています。
ヘリテイジリゾートで提供している『谷津田米』は、ため池農法でコメを生産する農業者さんによってつくられたブランド米。農薬や肥料の使用について自主基準を設け、特別栽培米の認定を受けています。
ため池農法を用いたブランド米が人気を得る一方で、生産者の高齢化などにより、ため池の維持管理が難しくなっている実情もあります。
ため池は農業用水の利用だけでなく、洪水などを防ぐ防災や、周辺の森林を含めた生態系を育む役割を担ってきました。ため池の管理を通じて地域のコミュニティーが形成され、伝統的な農業が今日まで受け継がれて来たのです。
ため池は先人たちの米作りの知恵であり、農業遺産への登録で将来へ引き継ぎ、地域活性化に役立てたいという思いで、活動を続けていきます。
以上、今回は伝統農法の未来についてお送りしました。
次回は、第三回<ヘリテイジリゾートとため池農法の関わり>について、お伝えしたいと思います。
